万年丸萬年丸は薩摩藩および広島藩が幕末に保有した蒸気船。

概要

1864年にイギリスで建造された鉄製蒸気スクリュー船で、1865年に薩摩藩が購入した。原名は「キンリン(Kim Lin)」。代価は10万ドル(または7万5000ドル)で、購入元はグラバー商会であった。1865年10月に薩摩藩が琉球貿易のため「キンリン」を購入するとした際、トーマス・ブレーク・グラバーは3万ドルを融資した。1866年5月、「キンリン」は「スコットランド」とともに薩摩藩の債務の担保とされた。

慶応2年6月11日(1866年7月22日)、広島藩が薩摩藩より金5万両で購入した}。

「万年丸」はトン数270トンで機関は80馬力であった。大砲は4門。

慶応2年11月上旬(1866年11月 - 12月)、洋学修得のため江戸へ派遣される者50名ほどを運んだ。

慶応3年10月中旬(1867年11月)、「万年丸」は京都警備のため派遣される応変隊の乗る「八幡丸」を宇品から大坂へ曳航した。次いで、討幕の密勅を携えた大久保利通らを大坂から三田尻まで運んだ。11月下旬(1867年12月)には発機隊を宇品から大坂へ運んだ。

戊辰戦争時は輸送任務に従事した。慶応4年3月26日(1868年4月18日)には天保山沖観艦式に参加した。

脚注

参考文献

  • 海軍歴史保存会(編)『日本海軍史 第1巻 通史第一・二編』海軍歴史保存会、1995年
  • 公爵島津家編纂所(編)『薩藩海軍史 中巻』原書房、1968年
  • 坂本卓也『幕末維新期大名家における蒸気船の導入と運用』佛教大学〈佛教大学研究叢書〉、2022年4月20日。ISBN 978-4-7924-1499-3。 
  • 杉山伸也『明治維新とイギリス商人 トマス・グラバーの生涯』岩波書店、1993年、ISBN 4-00-430290-0
  • 杉山伸也 著「グラバー商会」、藤野保 編『九州と外交・貿易・キリシタン II』国書刊行会〈九州近世史研究叢書〉、1985年2月1日、401-540頁。 

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