ESS 3200形電気機関車は、かつてインドネシアのジャカルタとボゴールとの間で使われていた電気機関車である。オランダのWerkspoor社で1925年に製作され、インドネシアが植民地であった時代から1970年代まで用いられた。
概要
インドネシアの鉄道網の電化は、1923年に起工され、1925年にはジャカルタの都市圏で直流1500Vの架線のもと、運用が始められた。当時バタヴィアと呼ばれていたジャカルタとその周辺の電気鉄道の運営は、オランダ領東インドの国営鉄道 (SS) の下部組織である、Electrische Staats Spoorwegen (ESS) がおこなっていた。ESSは、3200形のほか、スイスのSLMおよびBBC製の3000形、ドイツのAEG製の3100形などの電気機関車も購入した。 当初、これらの電気機関車はタンジュン・プリオク駅とメースター・コルネリス (現在のジャティネガラ駅) との間で供用されたが、1930年に電化が完成したデポックを経てボイテンゾルグ (現在のボゴール) までの区間で使われるようになった。
保存機
1976年にKRLと呼ばれる日本製の電車が運行されるようになってからは大半の電気機関車は使用されなくなり、鉄くずにされてしまったが、唯一残ったESS 3201号機がジャカルタのマンガライ鉄道工場で、整備されていない状態で保管されていた。これを鉄道愛好者の団体であるインドネシア鉄道保存協会 (IRPS) の主導の下でインドネシア鉄道会社が修復することになり、日本製の電車の機器を流用して、2007年の7月29日に作業が完了した。2009年には3201号機はタンジュンプリオク駅に貸し出され、ユドヨノ大統領による同駅の使用再開の記念式典に花を添えた。
愛称はBonbonである。
2022年の8月17日に3201号機は8年ぶりに復活、77回目の独立記念日をさらに賑やかにするため、同じくオランダ製の客車2両(IW-38221とIW-38212)を牽引した。
参考
- Cleaning Up ESS 3201 locomotive (IRPS) (英語)




